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不登校の原因は1つではないため、何が原因で不登校になってしまったのかの判断は極めて難しいものです。
子どもの不登校が改善せず、次のようなことに悩んでいませんか?
- 子どもに不登校の原因を聞いても「わからない」と言われてしまう
- 原因がわからないため、親としてもどうすれば良いか分からない
子どもは一向に学校に行く気を見せない。原因を聞いても返事は返って来ない。親として子どものためにどんなことでもしてあげたいのに、何をすれば良いかが分からない…。焦る気持ちばかりが募り、子どもに当たってしまうこともあるかもしれません…。
この記事では、不登校の原因がわからない場合のパターンとその対応方法をご紹介します。
不登校の原因がわからない場合に、親としてどのようにサポートすれば良いかが分かるようになります。
目次
1. 9つの不登校の原因
不登校には様々な原因があります。ここでは、文部科学省の調査を基に、不登校の原因別に解説します。
9つの不登校原因はこちら。
- 学業の不振
- 友人関係
- 家庭環境
- 入学、転編入学、進級時の不適応
- 進路への不安
- 学校の決まり
- クラブ活動、部活動
- 先生
- いじめ
では、順番に詳しく見ていきましょう。
1-1. 学業の不振が原因の場合
最も高い割合となっているのが、学業の不振です。全体の19%を占めています。
学校は成績の良し悪しで子どもの順位付けが行われるため、成績が悪いと「自分は価値のない人間だ…」と感じてしまい、学校に居づらくなってしまいます。
そのような子どもは、授業の内容が理解できていないことが多いです。授業の内容が理解できないと以下のような負のサイクルに陥ってしまいます。
授業の内容が理解できない⇒前の授業が理解できていないため、次の授業も理解できない⇒どんどんついていけなくなる⇒テストで良い成績が取れない⇒自己肯定感が下がる⇒学校に行く気がなくなる
このような負のサイクルに入ってしまうと、親としてはなんとか子どもにやる気を出させようと、「なんでこんな点しか取れないの!」「ちゃんと勉強しなさい!」「将来困ってもいいの!?」といった声かけをしたくなることもあると思います。
1-2. 友人関係が原因の場合
2番目に高い割合となっているのは、友人関係です。全体の17%を占めています。
学校という何十人の子どもが同じ教室で過ごす中、友人関係が複雑になってしまうことは仕組み上仕方ないところがあります。
もちろん人間なので、合う/合わないはありますし、ケンカをすることもあるでしょう。そういった友人関係の中で、友達とぶつかってしまい、学校に行きづらくなってしまうことがあります。
友人関係というのはとても難しく、当の本人が何かをしたわけでなくても、友達の輪に入れてもらえなくなることもあります。
1-3. 家庭環境が原因の場合
3番目に高い割合となっているのは家庭環境です。全体の15.6%を占めています。
なぜ家庭が原因で不登校に?と思った方も多いと思います。
どのような流れで不登校になるかというと、親からの過度な期待や家庭環境の複雑さから、家庭での居場所がなくなる⇒子どもに過度なストレスがかかる⇒外での疲れを家で回復することができない⇒エネルギー不足で不登校になる。という流れです。
1-4. 入学、転編入学、進級時の不適応が原因の場合
4番目に高い割合となっているのは入学、点編入学、進級時です。全体の13.5%を占めています。
環境の変化に上手く馴染めなかった結果、不登校になってしまうことはあります。
環境が変わることは、子どもにとって大きなストレスになります。環境が変わる度に友人関係を作り直すことは簡単ではありません。
1-5. 進路への不安が原因の場合
5番目は進路への不安です。全体の8.9%を占めています。
漠然とした将来への不安から、不登校になってしまうことがあります。これは、やりたいことがなく、勉強への意欲もわかず、未来への希望もなく、無気力になってしまった結果、というケースが多いです。
個人的には、「学歴が高い=偉い=幸せ」という価値観が子どもを苦しめてしまっていると考えています。確かに、学歴が高いことで有利になることはたくさんあります。就職で有利になることも間違いありません。しかし、人それぞれやりたいことも幸せと思う価値観も異なります。それを画一的に“学歴”という1つの物差しで測ることが本当に正しいのでしょうか。
子どもの幸せはどこにあるのか、その問いを常に持ち、子どもと接することが大切だと考えています。
1-6. 学校の決まり等が原因の場合
6番目は学校の校則です。全体の3.8%を占めています。
子どもは、校則が嫌で不登校になるわけではなく、校則の意味に納得ができないことから嫌気がさしてしまい、不登校になってしまいます。
先生としては、その校則に何の意味があるかを説明する義務があるはずですが、「決まりだから」という理由でまともな説明がされないこともあります。理由がないものに子どもが納得できるはずがありません。
1-7. クラブ活動、部活動が原因の場合
7番目はクラブ活動や部活動です。全体の1.8%を占めています。
部活動での先輩との上下関係、過度に厳しい練習、顧問の先生のパワハラなどにより、部活動に行くことが辛くなり、不登校になってしまうというケースです。
「無理に部活動を続ける必要はないよ」という声かけを子どもにしてあげましょう。
親として子どもの意志を尊重していることを伝えてください。
親の期待に応えたいという思いから、限界まで部活動を続けてしまうケースは実際にあります。良くある危ないパターンは、親の夢を子どもに押し付けてしまうことです。例えば、子どもにプロ野球選手になってほしいという思いから、子どもに野球を押し付けてしまうというのはよくある例です。
それ以外にも、“継続できない=悪”という考えから、部活動を辞めることに否定的になってしまう親も多いです。
確かに、継続する力は社会に出ていく上でも重要なスキルです。しかし、学校に行けなくなるほど追い込まれてしまっては元も子もありません。
自分が苦も無く続けられること、もっというと、楽しいと思って続けられるものを探すことが大事だと考えています。
日本では、苦しみに耐え忍ぶことが美徳とされる価値観があります。このような価値観が、多くの子ども達を苦しめてしまっているように思います。
個人的に、今の時代は「苦しみに耐える」よりも「楽しみを見つける」ことが重要と考えています。昔と違い、様々なキャリア・生き方が認められる時代が来ています。自分の好きなことを仕事にしている人がたくさんいます。
1-8. 先生が原因の場合
8番目はこちらです。全体の1.1%を占めています。
先生が原因の場合は、以下の記事にて詳細に記載しております。
1-9. いじめが原因の場合
最後はこちらです。0.4%と非常に低い割合になっております。
いじめが原因で不登校になってしまうことについて、理由の説明等は不要だと思いますので、対策について述べられればと思います。
単にいじめへの対策というと、かなり話が広がってしまうため、ここでは親としての対応に絞って考えたいと思います。
まずは、何が起きても味方であることを子どもに伝えましょう。いじめられている子どもにとって学校は地獄です。
自分の味方は誰もいないような気持ちになり、孤独を感じています。そんな中、親が味方でいてくれることは、子どもの気持ちをすごく楽にしてくれます。
2. 理由なく不登校になることはある
ここまで様々な原因について述べましたが、結論として、理由なく不登校になることはあります。不登校になる原因というのは、本人も分からないことが多いのです。
理由としては、不登校の原因は1つではないケースが多いためです。不登校は複数の原因が重なり合うことで起きてしまいます。
上記で述べた様々な理由が1つ、2つと重なっていくことにより、子どもは学校へいく意欲を失ってしまいます。
3. どんな原因でも共通してあるのは”エネルギー不足"
不登校の原因が明確な場合、分からない場合、どちらにせよ共通しているのは、子どもの“エネルギー不足”です。
つまり、どのような原因であれ、子どもがエネルギーを蓄えられる環境を作ることが大事になります。
4. 親としてできる対策は元気を与えること
親としてできることは、家庭を子どものエネルギーが蓄えられる環境にすることです。
学校、塾での勉強、部活動など、子どもは常に多くのエネルギーを必要とされる環境があります。
エネルギーを蓄えられる場所がないと、子どもはエネルギー不足に陥ってしまいます。最もエネルギーの回復場所としてふさわしいのは、家庭です。
家庭をそのような環境にするためには、親の子どもへの接し方が最も重要になります。
以下にて、子どものエネルギーを奪う声かけ、エネルギーを蓄える声かけをまとめました。
子どものエネルギーを奪う声かけ
- 理由も説明せずに「やめなさい」と言う
- 子どものチャレンジに「できるわけないでしょ」、「もっと現実を見なさい」と言う
- 何かにつけて「私に言うとおりにしなさい」と言う
- 「普通は〇〇だから、そんなことするのはおかしい」と言う
- 「△君に比べて、あなたはダメな子ね」と言う
子どものエネルギーを蓄える声かけ
- 小さなことでも「ありがとう」と感謝の気持ちを伝える
- 「どんなことがあってもあなたの味方だよ」と伝える
- 子どものチャレンジに「あなたならできるよ!」と伝える
- 失敗したときにも「ナイストライ!次も頑張ろう!」と伝える
親の日々の声かけ次第で、家庭がエネルギーの回復場所になるかが決まります。
親が自分を認めてくれていると思うと、子どもは親といることが心地よく感じられます。逆に否定されていると感じると、家庭での居心地が悪くなってしまいます。
とはいうものの、肝心の親が会社や家庭環境で疲弊してしまっている場合も多いです。まずは、あなたが元気になる必要があります。
5. まとめ
子ども自身が不登校の原因がわからない場合は多くあります。
そこで気を付けるポイントは、“必要以上に追及しない”ことです。子ども自身も原因がわかっておらず、どうすれば良いか分かっていません。無理に追及されるほど、子どもはエネルギーが奪われてしまいます。
大事なことは、原因の追究ではなく、子どもがエネルギーを蓄えられる環境を用意してあげることです。