読了予測時間 : 約 16 分 44 秒
お悩み
- 子どもが学校をイヤがる
- 「不登校かも」と思うけれど、色々わからない
- 不登校について、ひと通り知っておきたい
子どもが学校を行き渋ると心配ですよね。
この記事は「うちの子、もしかして不登校?」と感じている方に向けて、元不登校経験者がお話しします。
逸高等学院の代表で【3週間で不登校解決プログラム】を展開する小川涼太郎さん監修のもと、お話しする内容はこちら。
読むとわかる不登校
・不登校の定義
・学校がイヤになるワケ
・不登校のはじまりから終わり
・適切な対応・コミュニケーション
この記事1つで、「不登校って?」の疑問から解決方法までわかります。
あなたの抱える「わからない」が、少しでも軽くなれば幸いです。
目次
1. 不登校とは「学校に通っていない」
不登校とは「学校に通っていない状態・状況」のこと。
「学校に通っていない」と言っても、事情は子どもにより様々。
私たちは主に
重い病気があるから…
よりも
これまで通っていたけれど、通えなくなった
を「不登校」と呼んでいます。
経済・病気以外を理由にした不登校は、文部科学省が定義しています。
1-1. 文部科学省による不登校の定義「何かしらによる年間欠席日数が30日以上」
文部科学省による不登校の定義がこちら。
何かしらにより、登校しない・登校したくてもできない(経済的・病気除く)
年間欠席日数が30日以上
欠席日数が決まっていますが、実際は「学校に行きたくないけど…」と無理をしている時点で不登校は始まっているもの。
事実、「出席しているが不登校の傾向にある生徒の存在」は調査で判明しています。
1-1-1. 「不登校の傾向あり」は不登校の子どもより多い
「『学校がツラい』と感じながら学校生活を送る生徒は大勢いる」と、日本財団による「不登校傾向にある子どもの実態調査」で明らかとなりました。
潜在不登校の多さは、文部科学省も指摘しています。
(前略)実は、校内にはたくさんの不登校予備軍と言ったらおかしいが、そういう可能性を持っている子たちがたくさんいる。
出典:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議フリースクール等に関する検討会議合同会議(第20回)議事要旨
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1417949.htm
なぜ「学校に行きたくない」と思うのか、要因も見てみましょう。
2. 不登校の最多要因は「無気力・不安」小中高ごとに詳細を解説
文部科学省による調査の結果から、学校・家庭によるストレスの蓄積から極度の無気力・不安になったと考えられます。
無気力・不安は小中高すべてにおいて、不登校の要因のトップ。
不登校の要因は大きく分けて4つ、うち3つはさらに分けられます。
簡単にまとめると次のとおり。
不登校の要因
- 学校に係る要因(いじめ・友人関係・学業不振など)
- 家庭に係る要因(家庭環境の変化・親子関係など)
- 本人に係る要因(生活リズム・情緒)
- 該当なし
次は不登校の要因を、小学生・中学生・高校生ごとに見てみましょう。
2-1. 【小学生】無気力・不安を招く「親子の関わり方」
小学生の不登校の要因トップは、本人に係る要因の無気力・不安。
次点は家庭係る要因の、親子の関わり方です。
親子の関わり方は、友人・教職員との関係と比較しても目立ちます。
小学生は学校の人間関係よりも、親子関係から影響を受けやすい
と言えるでしょう。
親子間のコミュニケーションについてはコチラ
次は中学生の不登校の要因です。
2-2. 【中学生】無気力・不安のワケは「友人関係と思春期の不安定さ」
中学生も不登校の要因のトップは、本人に係る要因の無気力・不安。
次が学校に係る要因の、友人関係です。
中学生は小中高のうち、もっとも友人関係に悩んでいます。
あなたも過去、頭を抱えた経験があるはずです。
なぜ、中学時代は友人関係に悩みやすいのか?
それは、友人関係が次の3つを担うためです。
- 対人関係の学習
タテ(親と子・先生と生徒)ではなく、ヨコ(友人)のつながり - 情緒的安定化
相談・慰めによるサポート - 自己形成のためのモデル
比較、友人のモデル化をもとに自分をつくる
付き合う過程で自然と行われますが、お互い思春期のためスムーズにできるとは限りません。
中学生の不登校には、友人関係と思春期の揺らぎが複雑に絡んでいるのです。
友達関係に踏み込んでいいの?がわかります
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2-3. 【高校生】無気力・不安は「学校生活のストレスによる生活リズムの乱れ」から
高校生の不登校の要因は本人に係る要因の無気力・不安に続き、生活リズムの乱れが目立つ結果に。
- 友人関係
- 小中とは異なる環境
- 学業の不振
- 進路の不安
など学校生活すべてがストレスとなり、生活リズム・情緒にも強く影響していると言えます。
また、小中学生に比べて該当なしの割合が多いのも特徴。
該当なし増加には
自分のことを語りたくない
感情・事情を表現できる的確な言葉を持たない
「大人にはわからない」と思っている
「言わなくても、わかってほしい」と思っている
など思春期の特徴が絡んでいると推測できます。
お子さんが高校生なら「どうして話してくれないの?」の前に、「話せない・話したくない」と感じている背景を考える必要があるのです。
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3. 不登校4つの時期「前兆期・進行期・停滞期・回復期」
ここまで不登校の定義
何かしらにより、登校しない・登校したくてもできない(経済的・病気除く)
年間欠席日数が30日以上
と、不登校の要因を見てきました。
学校に係る要因(友人・教師・成績・クラブや部活・校則・進学進級など)
家庭に係る要因(家庭環境・親子関係など)
本人に係る要因(生活リズム・情緒など)
該当なし
ここでは不登校の始まりから終わりを、4つの時期に分けてお話しします。
不登校4つの時期
- 前兆期(行き渋り・欠席の増加)
- 進行期(欠席が続く)
- 停滞期(進展なし)
- 回復期(不登校からの脱却へ)
順に見てみましょう。
3-1. 【前兆期】行き渋りは「子どもからのSOS」
前兆期は不登校の入り口。
とくに「行きたくない」を言い出せない子は
体の不調を訴える(頭痛・腹痛・吐き気・だるさなど)
登校させようとすると、反発する・泣く
など行動でアピールします。
アピールの裏には
「『学校に行きたくない』ことに早く気づいて!」
のSOSが隠れており、精神的にはギリギリです。
行き渋り・欠席の増加に気づいた段階で
SOSに気づく
「学校に行きたくない」を受け入れる
この2つができると、深刻化を防げます。
ちなみにこのとき、行きたくない理由を問いただすのはNG。
やりがちですが「何がイヤなの⁉︎」と聞くほど、こじれます。
3-2. 【進行期】親は不登校を実感・子どもは現実逃避
進行期は欠席が続き、親御さんが「これが不登校…」と実感する時期です。
お子さんは
- 好き・興味のあることには没頭
- 学校の話題は避ける
など現実逃避します。
心が擦り切れたギリギリの自分を守るため、
学校というイヤな場所・起きた出来事
不登校であることへの負い目
を思わせる物事・人物などを徹底的に排除します。
昼夜逆転やゲーム漬けも、一種の自己防衛です。
ゲームばかりにもワケがある
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3-3. 【停滞期】不登校からの抜け出し方が「わからない」
停滞期は親子ともども打開策を見つけられず、混乱する時期です。
お子さんは
- 勉強・進路に対し、不安もしくは投げやりになる
- 落ち着いているように見えるが、学校の話題は渋る・避ける
- 「明日は学校、行こうかな」と言い出すが、行動しない
など場当たりに。
停滞期の子どもは暇を持て余しているため、「何かしなければ」とは思います。
しかし「何をどうすればいいのかは、わからない」のです。
あなたはきっと、お子さんの姿を心苦しく思うでしょう。
しかし、闇雲に手を出しても空回りします。
ちょっと立ち止まって、子ども・不登校との向き合い方を改めましょう。
落ち着いて行動するための、ゆとりが生まれます。
3-4. 【回復期】不登校からの脱却へ
回復期は充電期間を経たことで、気持ちも行動も前向きに。
情緒の安定から余裕も生まれ
家族や先生と学校のこと・今後について話せる
物事に対し、自分から取り組む
など積極性が増します。
「学校に行ってみようかな」の意思表示も出るころです。
必ず学校や支援機関と連携し、登校の練習から検討してみましょう。
4. 不登校の子どものためにできること「サポーターとして動機づけをする」
不登校の子どもが自力のみで現状を克服するのは難しく、あなたがサポーターとして動機づけをする必要があります。
不登校になった子どもの心情は
「何もかもイヤだ」
と、ネガティブまっしぐら。
頑張る気力など一切ないため、見守るだけでは何も進展しません。
だからこそ、あなたがサポーターになりお子さんを支える必要があるのです。
ただ、急に「サポーターになりましょう」と言われても戸惑いますよね。
ここからは「サポーターはどういった心持ちで、より具体的に何をすればいいのか?」を解説するので、安心してください。
不登校の子どもを支えるために
- サポーターとしての「心構え」
- 動機づけをスムーズに!「子どもを取り巻く環境を整える」
- 環境を整えるにも役立つ「今日からできる4つのこと」
- 【小中高ごと】知っておきたい対応とコミュニケーション
心構えだけでも知っておくと、精神的にラクになりますよ。
4-1. サポーターとしての「心構え」
「心構え」ができると不登校の捉え方が変わり、ゆとりを持ちやすくなります。
サポーターの心構え
- 「子どもが不登校であること」を受け入れる
- 不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
順に見ていきましょう。
4-1-1. サポーターの心構え①「子どもが不登校であること」を受け入れる
学校に行けない現状の奥には、子どもが「学校に行けないだけの『何かがある』」と理解することです。
不登校を受け入れらない状態では、目の前の状況だけ見てしまうため
- 「なんで?どうして?」
- 「学校に行ってよ!」
ばかりを思いがち。
不登校を受け入れるカギは、
です。
落ち着いて考えてみると
- 学校を嫌がる・拒絶する
- 元気がない
ということは「今の状態になるまで、色々あったのかも?」とイメージできます。
ここまでくれば、あなたなりに解釈して納得できるはず。
「この子は学校に行きたくない・行けないんだ」が腑に落ちた瞬間こそ、あなたが「子どもが不登校であること」を受け入れた証です。
相談して打ち明けることも、不登校を受け入れることにつながります
4-1-2. サポーターの心構え②不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
不登校は「今」の視点から見ると頭を悩ませるものですが、「未来・人生」の長期的な視点から見ると捉え方が変わります。
思い切って
不登校は、成長・発達するためにある
不登校は「さなぎ」の時期
のように、人生の下積み・のびしろを大きくしていると考えてみましょう。
不登校は短期的に見れば「学校に行けない」ですが、長期的に見れば「大人になるための過程」です。
考え方のアップデートで心もラクに!
-
不登校は「甘え」ではなく「甘え」である。でも「甘やかし」はNG
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2つの心構え
- 子どもが不登校であることを受け入れる
- 不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
心構えの次は、動機づけを確実で効果的なものにするためのヒントです。
4-2. 動機づけをスムーズに!「子どもを取り巻く環境を整える」
子どもを取り巻く環境を整えると、あなたからお子さんへの動機づけが確実で効果的になります。
あなたの動機づけを左右するのが
- あなたと子どもの関係
- 家庭全体の様子
- 子どもの生活リズム
などを含む、子どもを取り巻く環境。
環境が「整っている」と
- コミュニケーションがあるため、動機づけが可能
- 不登校への負い目が小さく、思考・メンタルも前向き
- 生活リズムが整っており体調不良を起こしにくく、多少の元気がある
信頼関係があり最低限の元気はあるため、あなたの動機づけも効果を見込めます。
環境が「整っていない」と
- コミュニケーションがないため、動機づけできない
- 常にプレッシャーを受けるため、思考もメンタルも後ろ向き
- 生活リズムの乱れにより常に体調が悪く、うつ傾向
信頼関係がなく元気もないため、動機づけはできないでしょう。
子どもを取り巻く環境1つで、お子さんへの動機づけは
無意味
に分かれるのです。
動機づけをスムーズにするには
- 子どもを取り巻く環境を整える
次は、環境を整える際にも使える「できること」です。
4-3. 環境を整えるにも役立つ「今日からできる4つのこと」
あなたが今日から取り組めることがこちら。
今日からできる4つのこと
- 子どもの話を聴く
- 生活サイクルは乱さない・正す
- 「自信を持って」よりも「やればできるよ」
- 子どもの「居場所」をつくる
1つだけ取り組むよりも、すべてを少しずつ行う方が相乗効果を狙えます。
まずは「子どもの話を聴く」から見ていきましょう。
4-3-1. 子どもの話を聴く
聴くというのは、コミュニケーションにおいて大切なこと。
子どもの話に耳を傾けると、次のメリットがあります。
あなた
不登校の引き金・乗り越える課題が見えてくる
子どもの感情・考えのヒントが掴め、サポートの方向性が定まる
お子さん
「聴いてもらえた」ことで情緒が安定する
ただし、あなたから「何があったの?イヤなの?」と聞いても、お子さんは口を開きません。
案外これまでと同じように接していると、ぽつぽつ話してくれます。
子どもが話し始めたら、
とにかく聴き役
気持ちをあらわす言葉に注目
です。
お子さんの望みは、あなたに自分の感情・考えを受け入れてもらうこと。
例えば、
「学校の◯◯がイヤだった」
「そっか。〇〇でイヤな気持ちになったんだね」
のように返します。
感情を確認するひと言があると「共感してもらえた」と感じるため、話をしてくれるようになります。
コミュニケーションのとり方もさp
4-3-2. 生活サイクルは乱さない・正す
生活サイクルが狂うと体と心が不調になるため、なるべく乱さないようにさせましょう。
昼夜逆転は不登校あるあるなので「放っておいても大丈夫」と思いがち。
1度狂った生活リズムを戻すには
- 時間
- 気力
を要するため、その分だけ不登校も長引きます。
昼夜逆転のワケから解決法まで解説
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4-3-3. 「自信を持って」よりも「やればできるよ」
あなたにはお子さんに対して「自信を持って」より、「やればできるよ」を伝えてほしいと思っています。
「やればできる」は魔法の言葉。
お子さんの挑戦を後押しして、成長を促します。
一方の「自信を持って」は、不登校の子どもにはハードルの高い言葉。
「『学校に行く』みんな当たり前にしていることが、自分はできない」
事実を痛感するあまり
- 「自分はダメなヤツだ」
- 「どうせ何もできない」
と思っており、自分を信じられないのです。
お子さんに「できることがあるよ。やればできるよ」を、たくさん伝えてください。
「やればできる」を実感できれば、自力で前進するようになります。
4-3-4. 子どもの「居場所」をつくる
不登校の子どもは心を閉ざして引きこもる傾向があるため、早い段階で居場所をつくることが必要です。
居場所は子どもが
素のままで居られる
心をさらけ出せる
など、安心できることが重要。
居場所は
- 家(家族)
- 社会(外の世界)
の2つに分けられ、家(家族)はとくに重要です。
4-3-4-1. 子どもの居場所①家(家族):「安心して不登校でいられる」が信頼の証
お子さんの不登校に対し、負い目を感じさせない環境が求められます。
ポイントは子どもが「不登校でも大丈夫なんだ」と思えるか。
あなたや家族が次をしていないかをチェックする必要があります。
「『不登校』で責められない」とわかると、子どもは安堵します。
安心感を得られたことで
- 信頼関係の強化
- コミュニケーションの発生・増加
へとつながり、家(家族)が居場所として機能するのです。
反対に、家(家族)が居場所ではない場合
不信感による引きこもり・孤立
コミュニケーションの拒否
が生じるため、社会(外の世界)に居場所をつくるどころの話ではなくなります。
すでに引きこもりでも大丈夫。サポートできるようになります!
4-3-4-2. 子どもの居場所②社会(外の世界):他者からの受け入れと安心感が重要
社会(外の世界)にも居場所をつくると、
家族のほかにも、自分を受け入れてくれる人がいるとわかる
家族以外との関係を築ける
外出のきっかけになる
などの効果が見込めます。
居場所の候補はこちら。
居場所の候補
- 教育支援センター(適応指導教室)
- フリースクール
- 不登校の子ども・親御さん向けの集会
- 趣味・好きなことのコミュニティ
子どもが「行きたい」「居たい」「ここなら大丈夫」と思える場所が最適です。
まとめ:今日からできること4つのこと
この次はお子さんに対して、効果のある対応とコミュニケーションについてです。
接し方のポイントを抑えておくと、普段の会話にも活かせます。
4-4. 【小中高ごと】知っておきたい対応とコミュニケーション
小中高の発達に合わせた対応、コミュニケーションのコツのまとめです。
小学生・中学生・高校生ごとに分かれているので、お子さんに合わせて活用してくださいね。
4-4-1. 【小学生】視野を広げる・甘えには成長に合わせた接し方を
小学生への対応とコミュニケーションは次の通り。
小学生への対応
- 未体験の物事にふれさせる、体験させる
- お手伝いなど、係を与えて取り組んでもらう
小学生とのコミュニケーション
- 低学年:甘えてきたときは、スキンシップも活用する
- 高学年:スキンシップは必須ではなく、付かず離れずを意識
対応から順番に見ていきましょう。
4-4-1-1. 【小学生への対応①】未体験の物事にふれさせる、体験させる
お子さんが小学生なら、視野を広げてあげるのがおすすめです。
気になる対象が1つでも見つかると、
知る
わかる
できるまでする
を自分から行うように。
「何を勧めてもイマイチ…」なのは、
- 興味・関心の対象が今まで見聞きしたものにはない
- 今は興味・関心がない
なので、あまり気にせずとも大丈夫です。
また「子どもが興味を持ちそうなもの」から視点を変えてみましょう。
- あなたは、興味・関心のない物事
- あなたが嫌いな物事
が意外と、子どものアンテナに引っかかるかもしれませんよ。
4-4-1-2. 【小学生への対応②】お手伝いなど、係を与えて取り組んでもらう
「洗濯係」「茶碗洗い係」など役割を与えて取り組んでもらうと、次のメリットがあります。
役割の自覚・責任意識の芽生え
生活するうえで必要なスキルが身につく
家事をしてくれる人への、ありがたみがわかる
反対にデメリットもあります。
- やりたがらない
- 慣れていないため時間がかかる
デメリットを最小限に抑えるには、
洗濯係:自分の服だけ畳む
茶碗洗い係:自分の食器を流しに運ぶ
など小さいことに1つずつ取り組んでもらうのがコツ。
また、曜日ごとに係を変えると飽きにくくなります。
4-4-2-1. 【小学生とのコミュニケーション】甘えには成長に合わせて接し方を工夫する
1年生と6年生では同じ甘えでも
- 素直に甘えてくる1年生
- 甘えたいけど、素直に表現できない6年生
のように違いがあります。
4-4-2-1-1. 【小学生とのコミュニケーション】低学年は気持ちをハグで受け入れる
低学年のうちは、ハグなどのスキンシップが効果的です。
感情の言語化には難しい点も多いため、物理的にふれる方が早く安心します。
「甘えるクセがつきそう」ですが、甘えは心がバランスを崩した際の自然な反応です。
「もう小学生でしょ?」と拒絶する方が、子どもを傷つけます。
1度ぎゅっと抱きしめてあげるだけで、お子さんは安心しますよ。
4-4-2-1-2. 【小学生とのコミュニケーション】高学年は付かず離れずで気持ちを受け止める
高学年は自立心が芽生えるため、スキンシップは必須ではなくなります。
子どもから話しかけてきたら、作業の手を止めて応じる
のように、パーソナルスペースを意識した接し方を心がけましょう。
小学生の甘えについて解説
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4-4-2. 【中学生】自己探求させる・適度な距離を保つ
中学生への対応とコミュニケーションは次のとおり。
中学生への対応
- 興味や関心・他者との交流から、自分の在り方を模索させる
中学生とのコミュニケーション
- 付かず離れずの距離を保つ
順にチェックしていきましょう。
4-4-2-1.【中学生への対応】興味や関心・他者との交流から、自分の在り方を模索させる
中学生は自立への意識が強まり、自分の在り方に対する手探りが始まります。
- 内面世界が、親や友だちとは違う
- 理想と現実のギャップ
などの葛藤に直面しながら、今後についても考え始めます。
ただ、不登校の子どもは「不登校」がネックで自分の将来から目を背けがち。
したいこと・好きなことをさせる
不登校経験者、理解がある人と話をする
不登校を乗り越えようとしている・乗り越えた人のブログを読む
など、今に集中する・生き方のモデルを探すことが糸口になります。
物事、他者との交流や追体験を通すと
「受け入れてくれる人」の存在を理解する
「不登校だから」と悲観しなくていいと気づける
乗り越える課題が見えてくる
など、自分について考えるヒントを得られます。
思春期かつ不登校で自分について掘り下げるのは大変ですが、ゆくゆく自身への糧となるのです。
4-4-2-2. 【中学生とのコミュニケーション】付かず離れずの距離を保つ
中学生のお子さんとの距離は、付かず離れずがベストです。
思春期で反抗期になり「親のあなたから自立したい」意思が強まるため、過干渉はNGです。
「不登校だから・思春期だから」と意識しすぎないよう、あえて少しだけ距離をとるくらいがちょうどいいでしょう。
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4-4-3. 【高校生】将来の選択肢を多く示す・自分で考えて決めさせる
高校生への対応とコミュニケーションは次のとおり。
高校生への対応
- 将来の選択肢を考えるためのヒントを示す
高校生とのコミュニケーション
- 自分で考えさせる・決めさせることを意識する
将来のことも含め、自分のことは自分で考えてもらうのがポイントです。
対応から見ていきましょう。
4-4-3-1. 【高校生への対応】将来の選択肢を考えるためのヒントを示す
お子さんが高校生なら、将来について考えるきっかけを出してあげましょう。
高校生は思春期の後半で、自立して社会に足を踏み入れる準備期間です。
一般的にも自分の将来に心配・不安を抱きますが、お子さんはさらに「不登校」がネックになっている可能性も。
まずは、
- 不登校は人生の通過点にすぎない
- 人生は不登校だけで決まるものではない
の2つを伝えてあげてください。
その後に、
興味がある・なりたいものに関わる活動(勉強・アルバイト・ボランティア)を始める
したいことがない・わからないなら、したことがないことを片っ端から試す
幼少期から今まで「大きくなったら何になりたいと思っていたか」を書き出す
など行動のヒントを伝えてあげてほしいと思います。
行動をベースにあれこれ試すと
自分がどういった物事・思いを大切にしてきたか
がわかり、少しずつ未来が拓けてきます
あなたはサポーターなので答えを出すよりも、子どもが自分で考えられる「きっかけ」を出すことを心がけましょう。
4-4-3-2. 【高校生とのコミュニケーション】自分で考えさせる・決めさせることを意識する
高校生の年代なら、自分に関わることはあるていど本人に考えさせて決めさせること。
サポーターのあなたが一定の距離を保つことで自立を促せます。
また会話の際には
どう感じている?
どんなふうに捉えている?
どのように考えている?
といった、問いかけが効果的です。
自身の感情・考えをもう一度考えるため、思考がより深くなります。
ちょっとした会話をきっかけに将来の展望が見え、不登校解決の糸口につながる可能性もありますよ。
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5. まとめ「学校に通っていない」はサポーターの動機づけ次第で変わる
不登校とは、次の状態・状況を指します。
広義の意味で、学校に通っていない
文部科学省の定義では、何かしらの理由で年間30日以上の欠席(経済・病気を除く)
出席している子どもの多くに「不登校の傾向」が見られる
不登校の要因は大きく4つに区分され、うち3つはさらに分けられます。
学校に係る要因(いじめ・友人関係・入学や進級・学業不振など)
家庭に係る要因(家庭環境の変化・親子関係など)
自分に係る要因(情緒・生活リズム)
該当なし
不登校は、次の4つの時期を進みます。
- 前兆期:不登校の入り口
- 進行期:親は不登校を実感・子どもは現実逃避
- 停滞期:不登校から抜け出せない
- 回復期:不登校からの脱却へ
不登校の子どものためにできることは
サポーターになって動機づけをする
そのためには、
「子どもを取り巻く環境を整える」
が重要なポイント。
対応とコミュニケーション
にも日々取り組むと動機づけも進み、不登校解決へとつながります。
6. 追伸「子どもの不登校に不安を感じている」今が相談のチャンス
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
不登校の定義から解決への道のりまで、ひと通り知っていただけたかと思います。
ただ、あなたの中に疑問が残っているとすれば、「うちの子の不登校も本当に解決できるの?」この1点でしょう。
「大丈夫です。不登校は解決できます」と言っても、信じきれないですよね。
参考に不登校を解決できたご家族のアンケートを聞いてみてください。
このご家族は、私たちへの無料相談をきっかけに不登校を乗り越えられました。
あなたも、まずは無料相談から不登校解決への1歩を踏み出してみませんか?
ささいなことでも構いませんので、ご相談・ご連絡はお気軽にどうぞ。
<<参考文献一覧>>
無藤隆・岡本裕子・大坪治彦編『よくわかる発達心理学[第2版]—やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ』ミネルヴァ出版(2009).
麻生武・浜田寿美男編『よくわかる臨床発達心理学[第3版]—やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ』ミネルヴァ出版(2008).
キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』(今西康子訳)草思社(2020)
文部科学省:子どもの徳育に関する懇談会(第5回)配付資料.参考資料2 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について(参考メモ)[改訂]
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1285897.htm(参照2021-04-26)
文部科学省:子どもの徳育の充実に向けた在り方について (報告).3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1286156.htm(参照2021-04-26)
内閣府:ひきこもり支援者読本 PDF版目次.第1章 ひきこもりの心理状態への理解と対応
https://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/hikikomori/handbook/ua_mkj_pdf.html(参照2021-04-26)